2005年 02月 16日
2005.2.12 よこはま・たそがれ
b0054875_10585494.jpg良き友でありわたしの先生でもある辻直之さんの新作アニメのインスタレーション&トークショーを見に横浜赤レンガ倉庫へこれまた良き友である下平君と行ってきた。

辻さんのトークは決してうまくない(だのに意外とトークショーをやらされる)。長いまつげで伏し目がちに「あのー、そのー」連発。でも心の底から思ってることを差し出そうとするなんとも純粋な辻さんの姿を見るのは喜ばしい。辻さんはとってもアーチストだね。でもやっぱりあまりにもトークショーが長いので、途中から下平と授業中のように筆談をして楽しんだ。

新作アニメ「雲をみていたら」はいままでの作品にくらべちょっと話の筋みたいのがあって、そのぶん「うへー!」な感じ(?)が少ない。作品発表のインターバルが今回非常に短かったけど、そうだな、短いよな、という感じ。でも雲が可愛い。

辻さんのアニメは、木炭で描いては撮り、消してまた描いて撮り、という物凄く独特な技法。消した跡が残り美しい余韻を作る。絵と物語もとても独特。カンヌに行った超大作「闇をみつめる羽根」は「うへー!」どころか「うっっっへー!」な世界。とてもおもしろいので機会があったらぜひみなさん見てください。

ちなみに辻さんは女装をしている(こちらのインタビュ−参照)。トークショーの質疑応答で「なんで女装なのですか」という質問を受けて「女装だと気持ちが盛り上がるからです。というか女装が昔から好きだからです」と答えていた。(「昔は妹のワンピースを着てこっそり夜中に外に出かけ、戻すときは見つからないようにと緊張した」とのこと)今日はかわいいちりめんの髪飾りをしていたので「それかわいいね」と言うと「マキちゃん(辻さんの奥さん)が作ってくれた」だそうで。ひゅー、仲良しじゃーん!と囃す。しかしそのあとマキちゃんは辻さんに「オカマ!」と罵っていた。つーか今にはじまったオカマじゃないじゃんね。いやー仲良くてなによりだね。

b0054875_10374245.jpgb0054875_10375371.jpgトークショーの途中に今回特別に昔描いた紙芝居をお蔵だししてきてくれた。大学生の時、この紙芝居をゲリラ的にトイレで行っていたらしい。W・バロウズの話を自分で絵にし、テープレコーダーに声を吹き込んだ物を流すというパフォーマンス。司会の人がなんでトイレなのかと問うと「バロウズはゲイで、ゲイのデートの待ち合わせ場所がトイレであるから、そして話の中に非常にトイレのことが出てくるから」とのこと。そうなんだ。なんてすてきなゲリラだ、デートみたいなゲリラ(でもいきなりトイレにこんな紙芝居野郎いたら怖い)。しかしこの紙芝居がまた非常に年季が入ってて物凄い勢いで虫が食ってるし、インクが全部変色していて素晴らしい古文書になっていた。たばこのなかの金紙みたいなものが貼ってあったりしてキラキラキラキラ。辻さん世界がキラキラ爆発。

わたしも下平くんもそれぞれ横浜に思い出がたくさんある(はず)。物凄く横浜が好きなのか、2人とも2回ずつ横浜で展示をしている。(ちなみに下平作品も超マーベラスな滲みドローイング仲間なのでこっちもぜひ注注注目。マーベラスなマーグラフ!!)横浜に住んでもいないのに。つーかめちゃめちゃ家から遠いのに。だって好きなの、横浜が。ホントにふしぎな街。いるだけで、なんとも懐かしいような、せつないような、総じて楽しい気持ち。海が近い所で暮らしたい、と思ってたけど(私は泳げないので泳ぐための海でなくて良い)今もそう思うなあ。というか横浜に住みたいなあ。

昔、辻さんとマキちゃんと真夜中の廃港に行ったことがある。ほんとうに真っ暗で怖かったけど、その時に見た真っ暗な海と真っ暗な涼しい空気が今も忘れられない。また別の日には辻さん、マキちゃん、そして下平と4人で夜中に公園で花火をしたこともある。それも忘れられない。あれ、廃港にも下平もいたっけ?別の友達だっけ?それとも3人だっけ?忘れられない、と言った割には最近いろいろ記憶が怪しい。ただ感覚やにおいの記憶だけは絶対。いや、絶対って怪しいな。まあいいか。とにかく、横浜と呼ばれるところにくれば、出来事ではなくなんらかの特別な記憶がひきだされる。昼の横浜も好き。夜の横浜はもっと好き。ああ、中華街で肉まんが食べたい。元町でお茶を飲みたい。港が見える丘公園でぼけっとしたい。桜木町のディスクユニオンで中古CDを見たい。横浜美術館で居眠りしたい。横浜スタジアムのオレンジ色のスタンドでビールを飲みながらハマの番長の背中を眺め、佐伯とヤジのキャッチボールをしたい。家系ラーメンはもう食べたくない。

日もとっぷり暮れた赤レンガ倉庫と桜木町の駅を結ぶイルミネーションの道を、横浜とは全く関係ない話を機関銃のように喋って大いに笑いながら駅に向かい、厨子と渋谷へ別れた。

また横浜行こうぜ、下平くん。また横浜で会おうね、辻さん、マキちゃん。

レイキン
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by kiiiiiii | 2005-02-16 11:02 | Lakin


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